なかなか米国株の下げが止まらなかった1月。
Microsoft、テスラ、Appleと、有名どころも好決算ではあるものの、FRBのパウエル議長の会見がまたタカ派色の強さで上げになかなか転じません。
ここまでの続落はコロナショックぶり・・・?ですが、最近はこの下落相場にも慣れてきました。
落ち着かない方はいちいち相場を見ないに限ります。
さて今回はこんな下落相場でこのまま米国株に積み立て投資(投資信託)をしていていいのか不安な方が多いということで、積み立て継続した場合の資産額と購入口数の関係について検証してみたいと思います。
資産運用はドルコスト平均法(定期定額積立)が安心
資産運用をすると、出てくる一つの悩みがこれ。
一括投資が積み立てか、どちらが資産が増えるのか。
最低限の生活防衛資金は確保したうえでの資産運用として話を進めますが、ある程度のまとまった資金がある場合、一括で投資をした方が、その後右肩上がりで上昇していくのであれば資金効率は非常によくなります。
が、購入後にそのまま上昇し続けるかどうかは誰にも分らない。
ましてや、2022年は利上げだ、インフレだ、QTだと、パッと考えただけでもそんなに株価が堅調に上がっていかないことは容易に想像がつきます。
そこで多少の資金効率が悪くても投資資金を段階的に投じていくドルコスト平均法(定期定額積み立て)が非常に有効になります。
ドルコスト平均法とは
投資信託は証券取引所でリアルタイムに売買するわけではなく、一日一回、その日の取引終了後に基準価格という形で価格が決められます。これがいわゆる株価に相当するもの。
つみたてNISAを年間満額おこなうと、上限40万円のため、毎月の積立額は33,333円となります。
その場合、購入代金は33,333円で一定ですが、購入時の基準価格(株価)によって、購入できる口数(株数)が変わります。
基準価格が上がっていると購入口数は少なく、基準価格が下がっていると購入口数が多くなるといった感じです。
ちなみに、上限が年40万円というだけであって必ずしも満額利用しなければならないわけではなく、月10,000円の積み立てでも、毎日500円とか、そういった感じで好きに設定もできます。
クレカ払いの設定や自動引き落としで購入できるので、購入する投資信託を決めて購入手続きをした後は基本的にすることはありません。
とっても便利です。
基準価格(株価)と購入口数(株数)の関係は
実際に2021年の価格推移と、購入した場合の口数がどのような関係だったのか、見てみたいと思います。

つみたてNISAでも多くの方が購入されているeMAXIS slim S&P500の基準価格(2021年)と、毎月10,000円×4(週1ペース)で購入した場合の購入口数の推移をグラフにしてみました。

こちらはiFREEレバレッジNASDAQ100です。
価格変動が大きい分、eMAXIS slim S&P500よりもより基準価格と購入口数の差に開きがあるのがわかります。
いずれにしても、基準価格と購入口数は完全に真逆の動きになっています。
基準価格が低いときほど、多くの口数が購入できることがよくわかります。
4つのパターンで検証してみる
では実際にいろいろな基準価格の変動に合わせて積み立てた場合、購入口数、資産額がどうなるのか、4パターンで検証です。
前提条件はこちら。
★積立額は毎月10,000円のトータル120万円
★基準価格は10,000円から10年後に105,500円程度に上昇
★積立期間は10年間
★積立期間中の価格上昇率は基準価格をそろえるため、調整済み
★縦軸左が基準価格推移、縦軸右が購入口数
★手数料は考えない
まずは基準価格と購入口数の推移を見てみます。
ではどうぞ!
パターンA
毎月2%ずつ10年間上昇して105,500円に到達する右肩上がりパターン。

基準価格と購入口数は完全に逆になるため、積み立て期間が経過すればするほど、購入口数は少なくなっていきます。
パターンB
2,3年目と6、7年目に毎月2%の上下を繰り返すレンジ相場を経て10年後に105,500円に到達。

レンジ相場期間中は基準価格が行ったり来たりなので、購入口数も上下しません。
最後の基準価格が上げているときはやはり購入口数は少なくなります。
パターンC
積み立て開始2年間はひたすら毎月2%ずつ下落する暴落相場を経て、10年後に105,500円に到達。

下落期間中の購入口数が爆増!
とくに基準価格が低い段階での暴落は購入口数の増加がより顕著です。
その後は基準価格の上昇に伴い、順に減っていきます。
パターンD
積立期間最後の2年間に毎月2%の暴落相場を経て10年後に105,500円に到達。

最初は順調に基準価格も上昇していますが、積立期間の最後に暴落を喰らう最悪なパターン・・・。
基準価格が高い段階での暴落は、いくら割安とはいえ、初期の安い基準価格と比べると購入口数には大きな差が開きそうです。
結果発表!
以上、4パターンで10年間積み立てた場合の購入口数を見てみました。
購入口数だけをまとめてみたのはこちら。

積み立て初期に多く仕込めたパターンC、常に上昇し続けたパターンA、それともパターンDは暴落を受けたとはいえ10年間積み上げた資産の減少はどの程度の影響なのか、はたまた乱高下を繰り返すレンジ相場を経験したパターンBはどうなるのか・・・
結果はこうなりました。

レバレッジ商品で言われる逓減リスクとは
金融庁も注意喚起している、レンジ相場におけるレバレッジ商品の逓減リスクについてここで疑問が出ます。
レンジ相場の後に上昇するということが大前提として必要だとは思いますが、とはいえ、一概にレンジ相場があるとレバレッジ商品は危険だ!とも言えない気もしますね。
ここは各自のリスク許容度の問題となると思いますが。
まとめ
ニュースでも株価下落は話題になり、利上げだ、インフレだ、金融引き締めだ、と何かと不安に事欠かない世の中ですが、せっかく将来の自由のために積立投資を始めたのであれば、、市場がどうであれ継続するのみ! これに尽きるということがわかりました。ちなみに上記のリスクの解説でもあるように、日々の値動きが 10%の上下を繰り返したら・・・とよく例えられますが、、 日々の値動きが10%も乱高下するような株式相場は個別株ならまだしも、株価指数(S&P500やNASDAQ)ではまず起こり得ません。
今回、NASDAQは-7.51%の下げでした。
この程度の下げは過去にいつ起きたのでしょうか。
2007年11月04日 -8.11%
2008年11月16日 -7.97%
2008年10月19日 -8.34%
2008年10月05日 -13.67%
2008年09月28日 -12.03%
2010年05月02日 -7.56%
2020年02月23日 -10.43%
2020年03月15日 -12.52%
2007年~2008年は金融危機、2020年はコロナショックです。
2010年って、、、なに?
こういったときにしか起きなかったほどの急な下げ相場だったんですね。 ある意味、とても貴重な体験ができたのだとと思います。
今回の検証がここ最近資産運用を始めて不安になっている人やこれから始めようかと思う人の参考になればいいな~と思います。
以上、ありがとうございました!