こんにちは。
凄まじいインフレが続くアメリカ経済、これからどうなっていくのでしょうか!?
今回は年が明けて公表された、2022年の米国金融政策とその行方について、まとめてみようと思います。
2021年に続いていたような上昇相場とは違って、年明けからガタっと崩れた株式市場ですが、その原因についてもまとめてみたいと思います。
よろしくお願いします。
直近の株価指数の推移
2022年1月に入ってからの米国市場はこんな感じです。

オレンジ・・・NASDAQ100
水色・・・S&P500
青色・・・NYダウ
年が明けてから全体的に下げてますが、なかでもNASDAQの急落は他の指数とはかけ離れていますが、その理由はこれ。
米長期金利の急騰です。

これは10年債利回りの日足チャート。
年明けの1.51%から急激に上昇し、最高値1.7%を超えてきています。
ナスダック100指数と比較してみると、こうなります。

青色が米10年債利回り、オレンジがNASDAQ100指数です。
金利が上がるとNASDAQが下がり、金利の下落局面はNASDAQが上昇するという、ほぼ逆相関の関係になっています。
で、なぜ急激に長期金利が上がった(=債券価格が下落した)のでしょうか。
順にみていきたいと思います!
12月のFOMC議事要旨について
先週、12月におこなわれたFOMC(公開連邦市場委員会)の議事要旨が公表されました!
元々、テーパリグ(債券購入プログラムの段階的縮小)、利上げはマーケットも織り込んでいて、2022年はテーパリングの加速&利上げ(早ければ3月、遅くても6月)、というのは誰もが予期していたことでしたし、なんだかんだでFRBのスタイルも今までは、、
・インフレも一過性(いつかは終わるよ)
・テーパリングは早めの終わらせるけど、利上げは別問題
・QT(金融引き締め)はまだ考えてないよ
という感じだったんですが、今回の議事要旨で思ったよりも態度を豹変させてきました!!
最も大きな驚きはこれです。
バランスシートの規模縮小(QT)の開始が適切な可能性がある
バランスシートの縮小(QT)とは
QTとは金融緩和の逆で、金融引き締めのことを指します。
これはFRBが保有する債券を満期が来たら継続で保有するのではなく、市場に売却を始めていくことで市場の通貨流通量を減らす政策になります。
なぜ金融引き締めをおこなう必要があるのでしょうか?
コロナショックから異次元の金融緩和をおこなったFRBの資産保有額は今や8兆8,000億ドル越えに爆増しています。
金融緩和によって、市中銀行からFRBが債券を購入したことによって、準備預金(市中銀行が中央銀行に預けておかないといけない預金)も増加します。
この準備預金は、FRBが利息を市中銀行に支払わなければならないのですが、準備預金金利(フェデラルファンド金利)が利上げによって上がっていくと、FRBの金利負担が増加してしまい、保有債券からのクーポン収入を超えてしまうため、バランスシートを縮小することで、FRBの金利負担がないようにしていくわけです。
QTが行われるときの株式市場の環境はどうなるか
過去米国でQTが行われたのは2017年10月~2019年9月までの2年間でした。
この間の相場環境はこうです。

激しく乱高下を繰り返しています。
2018年2月、3月、10月、12月、2019年6月の計5回、世界で同時株安が発生しています。
ちなみに、金融緩和時のNASDAQ100指数のチャートはこちら。

大きな下げという下げはコロナショックの時のみで、その後はキレイな右肩上がりです。
QTの年に何かリスクイベントがあったかを振り返ってみると・・・
とりわけ世界を賑わすような大きな出来事はなく、敢えて言えば米中貿易摩擦の激化、イタリアの政局不安、イギリスのEU離脱問題などでしたが、経済が停滞するような金融危機が起きたわけではありません。
それでもこれだけ株価が安定しないのは、QT(金融引き締め)が原因にあるとも言われています。
それだけ、些細なことでも株価の下落要因になり得るため、2022年にQTが始まれば似たような相場環境になるという心の準備は必要ですね。
ちなみに、通常は・・・・
金融緩和の終了
↓
利上げ
↓
金融引き締め
と、段階を踏んでおこなわれるのですが、2022年は利上げと同時にQTが始まるかもしれません!
これは相当に乱れる相場になるかもしれませんよ~
FRBがQTを急ぐわけ
株価が乱れに乱れるであろうことは容易に想像のつく利上げ&QTなんですが、なぜにそこまで急ぐ必要があるのでしょうか・・・
その答えは・・・米国のインフレです。

CPI(消費者物価指数)の前年同月比ですが、脅威の7%!!
通常、中央銀行が目指す適正なインフレ率は2%なんですが、その目標数値をはるかに超えるインフレ率が半年以上も続いているのです。
かつてはインフレは一時的との見方を示していたFRBも、この数字がここまで続くとさすがに一時的な問題とは言ってられず、本気の対策をとらざるを得ない段階にまでやってきました。
ちなみに、どれくらいやばいのでしょうか・・・?
食料品・・・6.3%
ガソリン・・・49.6%
電気代・・・33%
中古車価格・・・37.3%
新車価格・・・11.8%
住居費・・・4.1%
生産性が上がらない仕事でもコロナの影響で人手不足から人件費が高騰し、業績を圧迫しかねない状況ができつつあります。
生産性はかわらないまま、賃金だけが上がり、そのコストが販売価格に転嫁されると、企業業績はその上昇に追いつけず、、、となると、結果はわかりますよね。
はい、これだけ急激なインフレが進む中で、利回り1.5%程度の債券を保有することにメリットはありますでしょうか。
もちろん答えはNO!
債券を売ってコモディティや株式(商社株、エネルギー株)に資産は流れたことによって、急激に国債の利回りが上昇していったんです。
2022年の相場環境はどうなる?
2021年までのような金融緩和時のようなイケイケドンドン相場ではない、と思ってけば外れはないと思います。
巷では、ハイテク銘柄の多いナスダックではなく、バリュー銘柄へのシフト変更が囁かれたりもしていますが、その流れにあわせて保有銘柄の入れ替えはやりません。
というのも、、、
①自分のポートフォリオにおいては、米国株に関してはインフレによって企業業績の上がる生活必需品やエネルギーセクターを多く含むETFや配当金目的のため、一時的な株価下落は配当利回りの上昇につながり、買い増しチャンス。
②積み立てに関しては投資信託のため、相場を見ながら売買はできないと割り切っている。
③NASDAQの積み立てに関しては、長期金利が上がろうが、QTが行われようが、テクノロジーの進化は止まらない。
からです。
さらには今後段階的に金利が引上げられるということは、米国経済も力強く上昇していくということに他なりません。
比べて日本経済、どうですか。
ここ何年金利上げられてませんよね。
住宅ローンの金利低くてよかったーとか言ってる場合じゃないんですよ、これマジで。(いや、それはそれで嬉しいけど、、)
ということで、下落基調が続く株式相場ですが、資産運用をしている方、始めようとされている方の参考になれば幸いです。
以上、ありがとうございました!