こんにちは。
本日もありがとうございます!
インデックスの長期積立投資を始めて、積立初期にやってくる暴落相場は絶好の買い場となりますが、逆に積み立ても終盤、資産形成もある程度終わりが見え、取り崩し期にかけてやって来る暴落は極力避けたいところ。
長い時間をかけて積み上げた資産が失われていくのは、見るに堪えません。
そんなときに資産を分散させる手段として定番なのが、株式の他に債券や金(gold)を組み込むというスタイルではないでしょうか。
そんなときに疑問に思うのが、保有株式に対して安全資産の保有割合はどの程度にしておけば資産減少においてブレーキを掛けることができるのか。
そんな中で楽天投信投資顧問から販売されている投資信託で、株式にも債券にも同時に投資ができる楽天・米国レバレッジバランスファンド(通称USA360)という投資信託がありました。
楽天・米国レバレッジバランスファンド
株式と債券への投資比率を1:3として、実質的にファンドの純資産総額の360%(3.6倍)相当額を米国の株式と債券に分散投資します
という投資信託です。
2019年11月5日設定ということで、ちょうど設定後2年が経過しました。
運用パフォーマンス
過去のパフォーマンスはこちら

オレンジ兼みどりのラインが基準価格、水色が純資産総額の推移です。
純資産総額も堅調に右肩上がり。
基準価格は緩やかに上昇傾向です。
直近1年でのトータルリターンはなんと驚きの135%!!
これには驚きです!
債券を組み込み、株式100%よりも安定的な値動きでありながら、堅調に推移してきました。
コロナショック後の金融緩和で株式は上昇し、債券は利回り低下=債券価格の高騰と、USA360にとっては最高の追い風相場だったんですね。
ちなみに、コロナショック時の下落はこんな感じ。

下がるには下がっていますが、下落幅は株式のそれと比較したらずいぶんマイルドです。
これも債券にレバレッジを掛ける運用をしていることで急激に資産の下落スピードを抑えることができたということですね。
一方、現物債券を多少保有しているだけでは、株価の下落ショックを和らげる役割としてはなかなか厳しかったはずです。
投資信託の中身つにて深堀り!
株式と債券のどちらにも一度で投資が可能!
この投資信託は1口購入すると、米国株式:米国債券=1:3で保有する事ができます。
資産額のうち、25%を株式、75%に債券に投資かと思いきや・・・約90%を米国株式、270%を米国債券で運用とのことです。
270%???
100%超えの運用???
と思ったわけですが、答えはこうです。
株式への投資はVTIという全米株式インデックスへ資産額の90%振り分け、残りの10%を証拠金として先物取引を利用して米国債券を270%の割合で運用、合計360%の運用が可能ということです。
10,000円の投資で実質36,000円の運用をしているイメージです。

ファンド内資産内訳
ファミリーファンド方式のため、一般投資家から集めた資金はマザーファンドである「楽天・米国レバレッジバランスファンド」へ投資されます。

マザーファンドからVTI(全米株式インデックス)へ85.1%、短期金融資産のうち米国5年国債先物、10年国債先物にそれぞれ約141%運用をしています。(2021年5月)

レバレッジ運用のリスクは?
レバレッジ、先物取引というとハイリスクハイリターンのイメージが付き物ですが、この投資信託のレバレッジは価格変動の小さい債券運用にのみで、イメージの中にあるようなリスクは起こり得ないとのことです。
また、実際にレバレッジ投資を行うのはファンド内でのことであり、投資信託に資金を投ずる一般投資家がレバレッジ投資のリスクを背負うことはありません。
つまり、、、
株式のリスク(価格変動の振れ幅)を抑えるため、債券をポートフォリオに組み込みたい。
しかし、現物の債券を購入するとなると多額の資金が必要になることに加え、同じ割合で保有しても価格変動幅の大きな株式の下落のカバーができない。
しかし、この投資信託であれば債券にレバレッジがかかっていることで資金効率がよい。
とのことです!
VTI、債券先物指数との比較

赤線・・・楽天・米国レバレッジバランスファンド
青線・・・VTI
黄緑・・・米国5年国債先物指数
緑線・・・米国10年国債先物指数
株式指数に比べてコロナショックでの下落幅は小さく、債券のリターンを得ることでVTIよりも高いリターンを得ています。
債券のリターンと言っても、非常に横ばいですね・・・。
でもこの債券への投資があるかないかが、赤線と青線の下落と上昇の差なんですね。
暴落時に強い債券投資
2019年からの運用であればタイミングよくコロナショックでの暴落を経験することができました。
その時の価格変動率を見てみたいと思います。

コロナショック時のUSA360、S&P500、NASDAQ総合の比較チャートです。
最大下落幅も一番小さく、その後の回復スピードも一番速い。
コロナショック時の最大下落時の価格は2020年3月19日8,695円、直近最高値は2月21日の11,626円なので、25%の下落率です。
一方、つみたてNISAでも大人気、米国株式S&P500の投資信託は・・・2月21日の高値12,861円から3月24日最安値8,432円を付け、約34%の下落となっています。
また、下落後に直近最高値まで値を戻すのにかかった期間は・・・
S&P500投資信託が9月2日と約半年なのに対して、USA360は6月1日と、4ヵ月程度で値を戻しています。
一つ忘れてはいけないのが、ハイテク株に集中投資とされるNASDAQの方がS&P500よりも下落幅は小さく、回復も速かった事実です。
様々なセクターに分散できるS&P500ですが、実のところこういった暴落時はしっかりと暴落もしているということは忘れてはいけません。
過去のシミュレーション
楽天投信投資顧問HPより、1989年からの積み立てシミュレーションが載っています。

爆上げ!!!!!
100万円を投資して30年間運用したらなんと・・・1億1,168万円となっています。
とはいえ、過去の超長期にわたる検証結果でしかないので、今後もこの運用利回りが続くことを期待しているとがっかりする結果になります。
というのも、以前の米国の長期国債は利回りが高く、債券価格に上昇の余地が大きく残されていました。
現在の低金利での債券運用と比べると債券でのリターンが大きく見込めたため、過去30年の運用結果は112倍というパフォーマンス結果になったのだと思います。
投資する?しない?
先日のFOMCにて、テーパリング(債券購入プログラムの段階的縮小)が決定しました。
また、おそらくその後は利上げも予定されています。
株式市場にとっては逆風となりそうな今後の市場ではありますが、このUSA360、株式と債券を組み入れている投資信託はどうなっていくのでしょうか。。。
ゼロ金利政策によって債券価格が上がる余地はわずかですが、債券へのレバレッジ運用というメリットは、ある程度の資産価値を持ったときの暴落時の資産減少速度にブレーキをかける役割としては非常に期待ができる投資信託だと思います。
何事もなければ、資産内の90%を占めるVTIが基準価格を上げていってくれます。
つみたてNISA対象外だし、バランスファンドとはいえレバレッジ運用で信託報酬も若干高めということで、あまり話題に上がりにくい投資信託ではありますが、個人的にはe MAXIS Slimバランス(8資産均等型)よりも資産を安定的に増やせる投資信託だと思います。
ジュニアNISA枠でレバレッジNASDAQ100と同時に積み立てるのもアリかもしれませんね。
以上、資産運用の参考になればうれしいです。
ありがとうございました。